物流コストの低減は、物価の安定に寄与するとともに、企業経営の根本課題として今もっとも重要な課題となっています。
コストの低減を達成するためには、むやみに人員や設備をカットするのではなく、現状を把握して、無駄を省きながら必要な場所には設備投資するなど、計画的な施策が必要となります。
そこで、今回は物流コストを削減するにはどうしたらいいのかと、効率化のための施策例と注意点をご紹介したいと思います。
物流コストの削減が重視される背景
年々上昇傾向にある物流コスト。企業にとって大きな負担になりえることは想像に難くありません。
なぜここまで物流コストの削減が重要視されるようになってしまったのか——その理由を、物流コストの基礎知識のおさらいを含め解説します。
■物流コストとは?
物流コストとは、物の移動にかかる費用の総称のことを指し、輸送費、保管費、荷役費などが主な内訳となります。
特に輸送費は物流コストの中でも割合が高く、企業の利益に影響を与えやすいといわれています。
そして、物流コストの削減は企業の生産性を高めるうえでの課題となることが多くなります。
■物流コストの主な種類
物流コストには主に「支払い物流コスト」と「社内物流コスト」の2種類があります。前者は外部、後者は内部でかかるコストです。以下で、それぞれについて詳しく解説します。
輸配送にかかる費用、倉庫レンタル費用、流通加工費など、外部委託している作業に対して必要になる物流コストのことです。たとえばECサイトビジネスの場合。在庫を抱えている期間は比較的短期間になるため、商品の入出荷が多く発生します。そのため、配送や倉庫の管理はすべて外部委託している、というところも少なくありません。
なお、アウトソーシングすることでコストアップはするものの、専門的な業者による発送は非常に効率的でムダがないとも言えます。また、請求書払いなどで支払い物流コストの金額がはっきりと分かるため、コスト削減に向けた計画も立てやすくなります。
社内で物流を行う場合に発生するコストです。大部分を占めるのは人件費。従業員や臨時アルバイトなどのリソースを使えば、その分人件費が増していきます。また、物流システムを導入しているのであればその料金がかかります。そのほか、社内に輸配送や倉庫を持っている場合には、そのコストも考える必要があります。
なお、こうした社内物流コストはほかの業務コストとして計上されてしまうことも多く、正確に把握するのが難しいという課題を持っています。いざコスト削減をしようと思っても、費用対効果などが明確になってないのでなかなか着手しにくい分野です。
日本ロジスティクスシステム協会による全業種における物流コストの支払い形態別構成比は、支払い物流費(自家物流費以外の合計)が85.0%で、物流専業者に対する支払い物流費などが73.4%、物流子会社に対する支払い物流費が11.6%、自家物流費が15.0%となっています。
業種別の特徴としては、特に製造業において、物流子会社への支払い物流費の比率が14.3%と高く、卸売業の4.6%、小売業の0.05%を大きく上回っています。
物流コストの支払いにおいて、依然として自家物流費と支払い物流費の比率は高く、改善するには、荷主の既存の物流業者とは別に、物流コンサルタント機能や物流情報システムの提供を通じ、物流の効率化・物流コスト削減など、物流業務を一括してサービスを提供する「3PL」を行える物流サービスを展開する物流会社が必要となります。
現在は、運送業界の人手不足により、ドライバーの待遇の見直しが行われているなどの影響で、物流コストが高くなりやすい状況になっています。
また、人手不足の要因としては、オンラインショッピングの需要の増加や、ドライバーの高齢化なども原因と考えられています。
人手不足を補うためドライバーに支払う運賃を上げることにより、募集にかかる経費も増大し、結果的に運送の単価も上げざるを得なくなっています。その意味でも業務の効率化や労働環境の改善等の改善活動が求められています。
物流コストを削減する主なアイデア
膨らみ続ける物流コストを削減するたえには、マネジメントによる作業効率の向上や在庫最適化、拠点集約が効果的です。
加えて、一部をプロフェッショナルへアウトソーシングすることも選択肢に入ります。以下では、物流コスト削減のための具体的なアイデアをいくつかご紹介します。
■人件費の削減
作業効率を向上させることが人件費の削減につながり、効果的とされていますが、そのためには配送業務や倉庫管理などにおいて、業務プロセスの無駄を省くことが大切になります。
例を挙げると、手作業で行っていた納品書の印刷を自動化することや、商品の情報をバーコードで管理して確認作業を効率化すること、そして作業スペースの配置を変えて作業員の動線を改善することなどがあります。
■在庫管理の最適化
商品の在庫を必要最小限に抑えることで、在庫管理の最適化が実現し、保管費のコスト削減につなげることができます。
例えば荷主となるメーカーにとって、在庫が多過ぎると過剰な保管費が発生してしまい、さらに倉庫が広くなるほど、多くの管理費用がかかることになります。
そこで、過去のデータから適正な在庫数を算出して過剰な在庫を減らす、効率化のために倉庫のレイアウトを変更するなど、在庫の回転率を高め、倉庫に無駄なスペースがないように有効活用すると保管効率が良くなり、コストの低減につながります。
在庫管理の最適化の重要性については、日本ロジスティクスシステム協会の「2018年度 物流コスト調査報告書」によると、過去1年程度の間に取り組んだ物流コスト削減策で、最も多く実施されたコスト削減策は「在庫削減」であったとされ、在庫管理の最適化はコストダウンに直結する、ということが証明されています。
■配送拠点の集約
複数の配送拠点(自社の物流センター)があり、かつ運営コストを見直す場合には、配送拠点の集約を検討することがコストの削減に有効と考えられています。
配送拠点の数を減らすことで、賃料の削減、在庫削減、回転率の向上などが期待できます。
一方で、拠点間の距離が長くなり運送費が増加することもあるので、物量、輸配先までの距離、そして業種や時間など、トータルでコストの削減が期待できる場合には施策として取り入れると良いでしょう。
また、同時に保管の方法やピッキングと梱包方法、そしてトラックの積載率なども含めた物流改善もコスト削減のために重要なテーマとなります。
■アウトソーシング
物流業務の一部または全部を外部委託する方法となるアウトソーシングを積極的に活用することが、コスト削減に有効な手段となります。アウトソーシングとは、従来は組織内部で行っていた、必要な業務について、それを独立した外部組織から労働サービスとして購入する契約のことです。
自社の貴重な社員をより重要な業務に就かせ、余剰な人員を抱えずに付加価値の低い業務をアウトソースすることが一般化し、事務仕事やサポート業務を任せることが一般化されています。
また、専門に業務を特化したスタッフはリスクを回避し、最短で仕事を仕上げる術やコツを心得ています。
特に在庫管理や発送業務などは、物流を専門とする物流会社に委託できるため、短期間での効率化が期待できるとされています。
外部の経験を積んだスタッフは、仕事の効率、スピード、品質が優れており、専門的な知識とともに設備やシステムが整えられ、荷主企業にとってコスト削減以外のメリットもあります。
効率化で物流コストを削減する際のポイント
作業の効率化は物流コスト削減において一丁目一番地とも言える施策です。
しかし、すでに慣行されているフローにメスを入れるのは容易くはありません。そこで以下では、物流コスト削減に向けた作業改善施策を行う上で気に掛けたいポイントをご紹介します。
■ルールを「見える化」して運用する
物流コスト削減の取り組みが始まると、既存ルールを変更することが多くなるため、これまでの慣れていた作業方法から新しいルールに移行する過程で、混乱が生じる場合があります。
物流コスト削減をするために必要なルールでは、基本の5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を徹底し、備品の定位置や動線を決めるなど、レイアウトを工夫することになりますが、それを守り実行することを維持できなければ効率化は期待できません。
ルールを正しく理解しないと、かえって効率化を逆行することになってしまい、物流コスト削減も達成できません。
そこで、作業マニュアルによる方法を取り入れることが重要になってきます。この作業マニュアルを作成し作業方法を共有しておくことで、効率的に改善できるのです。
まずは、既成概念を取り除き、作業マニュアルによってルールを「見える化」し、基本的なルールを守る体制を構築するという切り口から始める必要があります。
■発送ミスの増加に留意する
十分な準備がないまま物流コスト削減を行うと、発送ミスの増加につながることがあります。チェック体制を簡略化してしまうと確認作業の質が低下する可能性があります。
また、人件費を削減するために人員をカットすることで、人手不足となり、作業員に過剰な負担が生じ、モチベーションが低下し人的ミスが増えることがあります。
発送ミスが増えると、顧客対応や再発送の業務負担が発生するため、結果としてコストが増加する恐れもあります。
したがって、全体の中で効率化すべき箇所を調査・分析の上で把握し、適切なコスト削減を行うことが望ましい進め方といえます。
■現場の「ムリ」「ムダ」「ムラ」をなくす
作業量が現場のキャパシティを超え混乱を招くと、”ムリ”が生じます。その状態で作業を続けるとマネジメントがうまく機能しなくなるほか、仕事の質も低下してしまいます。
一方、作業量が現場のキャパシティを大きく下回ってる状態は”ムダ”が多く、資産をうまく活用できていません。とくに人的リソースの余りは大きなオーバーヘッドコストになりえます。
“ムラ”のある状態とは、上記の”ムリ”と”ムダ”が繰り返されることです。”ムリ”が続くと人員やスペースの増強が行われますが、作業量が減ると”ムダ”が多くなります。かといってリソースを他部署に回すと、今度は忙しくなったときにまた”ムリ”が発生します。
このように、作業量とキャパシティを適切な状態に保つことは非常に重要です。そのためには、作業内容を単純化し、ミスを減らしてスピードアップを図る、作業動線や工程を見直すなどの工夫が求められます。
■物流機器導入前のコスト比較を徹底する
物流機器の導入は生産性や作業効率の向上に効果的です。しかし、そのコストは決して安くはありません。ムダな投資にならないよう、事前の準備が大切です。
まずは物流機器およびシステム等を導入すると、どのような効果がもたらされるのかを確認します。人件費がどれくらいカットできるかなどを算出できれば、費用対効果をシミュレートできます。
また、試算の精度を高め、かつ物流機器導入後に効果を最大化するのには、発生する作業工程・工数の洗い出しも必要です。機器を動かす前後の作業やメンテナンス費用まですべて踏まえた上で、間違いのないコスト比較を行いましょう。
物流コスト削減に役立つ配送マッチングサイト
物流コストの削減に向けたアウトソーシングを検討する際には、配送マッチングサイトの利用がおすすめです。
必要に応じて利用でき、利用料もかかりません。いか では、配送マッチングサイトの概要と、サイト活用による成功事例をご紹介します。
■配送マッチングサイト「軽のシゴトドットコム」とは?
「軽のシゴトドットコム」は、軽貨物に特化して荷物を運んでくれるドライバーを見つけたい「企業」「荷主」と、逆に荷物を運びたい「ドライバー」をつなぐマッチングサイトです。
登録することで、必要な時に必要なだけ、荷物の配送を依頼し運ぶことができるので、アウトソーシングで物流コストを削減したい企業にとって、最適な選択肢となるはずです。
なお、料金は完全無料で利用可能で、手数料は一切かかりません。余計なコストがかからないという点も、大きな魅力です。
■配送マッチングサイトの活用(利用)事例
ここからは、「軽のシゴトドットコム」を活用した成功事例をいくつかご紹介いたします。実際に物流コストがどの程度削減できたかなども記載しておりますので、ぜひ参考にしてください。
以前は軽貨物業者に配送車両を依頼して、毎日5台の車両を手配していました。
相場と比較して十分な運賃を出していたつもりだったのですが、ドライバーはいつも不満を口にし、接客の質も悪かったのが悩みでした。
そしてある日、ドライバーと話す機会があったので世間話がてら聞いてみると、ドライバーたちは思いのほか安い運賃でうちの仕事を請けていることが分かったんです。その額なら、そりゃ不満も出るわと納得しました。
そこで軽貨物業者を通さずドライバーを直接探そうと思い、ネットで検索して「軽のシゴトドットコム」を知りました。掲載は無料なので会社に求人出稿の稟議を通す手間もなく、直ぐにドライバーを募集、直接契約しました。
結果、以前より配送費を20%もカットすることができた上に、以前より運賃が高いためか、ドライバーの態度も明るくなり、以前のように不満が飛び交うようなことがなくなりました。
また、募集するときは掲載させてもらおうと思いますので、これからも宜しくお願いします。
店舗への毎日の配送はアルバイトが社用車を使用して行っていましたが、車両の入れ替えのタイミングで、コスト削減に舵を切りました。
軽貨物ドライバー専用マッチングサイトである「軽のシゴトドットコム」のことは名前だけ知っていたものの、「無料で掲載なんて、どうせ集まらないだろう」と考えていたので利用経験は無く、今回初めて、モノは試しと車両付きの配送員を募集しました。
すると、いつもはフリーペーパーに出しても応募数が少なく苦労していたドライバー募集が、掲載してなんと3日で充足に!軽のシゴトドットコムは完全無料なので、それまで求人媒体に払っていた14万円が不要になりました。
かつ配送車両の取得費用120万円、駐車場や保険代、ガソリン代などの雑費4万円/月ほども不要に。今まで支払っていた金は何だったんだろう?と思いましたよ。
さらに、配送にアルバイトを使っていた頃は、数カ月に1度くらいの頻度でバイトが起こしてくる接触事故の都度、車の修理代に数十万単位でかかっていました。
今では、これを支払う必要が無くなったのが一番のメリットかも!と思っています。大きい事故やると保険のランクも上がってしまうけど、もうそういうことも絶対に起こらないよなと思うと、ひと安心です。
農協さんの回収作業を請け負っていますが、農家さんの高齢化で毎年果物の収穫期1ヶ月だけが大忙しになり、困っていました。
その時期のためだけにずっと人を雇っておくわけにもいかないですし、この辺りはアルバイトも集まらないですからね。どうしようもなくなると、こちらでホテルを用意して派遣さんに来てもらっていたんです。
でも「軽のシゴトドットコム」さんを使い始めてから、毎年この時期に日本全国から1ヶ月だけドライバーさんが集まって来てくれるようになり、本当に助かっています。
1人あたり6万円ほどかかっていたホテル代もかからなくなって、大幅なコストダウンできました。
物流コストの削減でさまざまな課題を解決
今回は物流コスト削減に向けたアイデアや押さえておくべきポイント、成功事例をご紹介しました。しかし、そのすべてが物流の現場で最適とは言い切れません。大切なのは、それぞれの現場に合わせた施策を練り、計画を立てて実行することです。
その際に行われる”振り返り”こそが、現在の物流コストの問題点をあぶり出す重要な施策とも言えます。物流とその費用にお悩みの方は、ぜひ今回の記事を参考に、改善への一歩を踏み出してください。
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